いつかあなたに還るまで

今日、帰れば夕方には逃げられない時間がやってくる。

___そう、祖父の勧める男性と会わなければならないのだ。

忙しい祖父とは毎日顔を合わせることは叶わず、結局宮間から話を聞かされてから直接話ができたのは一度だけだった。
祖父が言うには見合いなんて堅苦しいものではないという。
ただ家に招いて一緒に食事をするだけだと。

それでも自分と引き合わせたいがために設けた場であることは明白で、志保にとっては場所が違うだけで見合いと何ら意味合いは変わらなかった。

考えると気分が滅入ってくる。

そんな気持ちを吹っ切るためにも子ども達の笑顔に会いたかった。
一人一人に複雑な事情を抱えているにもかかわらず、彼らが見せてくれる心からの笑顔に、いつも元気づけられているのは志保の方だった。

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