いつかあなたに還るまで
熱、視線



「____……」


ぼんやりと映し出される景色に今自分がどこにいるかを考える。
…確か仕事中からやけに体が重くてだるくて、家に帰って来るなり動くのもままならなくなってそのままベッドにダイブした…ような気がする。
それからしばらくして約束があったことを思い出し、何度も電話を掛けたけれど思うように繋がらなくて…

……それから…?

それから思い出されるのは何故か心配そうにこちらを見ている彼女の姿で___


「_____っ志保さんっ?! っ…!」


鮮明にフラッシュバックしてきた記憶にガバッと飛び起きる。
が、いまだ熱が下がっていないのか、途端にグラリと視界が歪む。なんとか落ち着けるように深呼吸を繰り返すと、徐々に薄暗い室内にも目が慣れてきた。
やはりここは自分の寝室だ。ということはあれは夢だったのだろうか?
なんだか目まぐるしく色んな夢を見たような気がする。

「……?」

その時ふと右手に違和感を覚える。

「___えっ」

と同時にその先に見つけた人物に言葉を失った。

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