いつかあなたに還るまで
「……となりました。おしまい!」
絵本を最後まで読み終わると、子ども達がわーっと拍手で沸く。
無邪気なこの笑顔が何よりの宝物。
「志保おねえちゃん! 今度はお外で遊びたい!」
「あっ僕も僕も」
「わたしも~!!」
本をしまうと志保は立ち上がる。その両手にはもう何人も子ども達がぶら下がっていた。
「よーし、何がいい? 鬼ごっこ? ボール遊び?」
「この前はボールで遊んだから今日は鬼ごっこ!!」
「よし、わかった! じゃあ最初はお姉ちゃんが鬼さんやるからね? じゃあ皆中庭に出て! 10数えたら鬼が行くよ~!!」
「きゃーーーーっ!!」
腕まくりしながらズンズン歩き始めた志保を見て、子ども達が一目散に中庭に逃げていく。
「いーち、にーい、さーん、………じゅうっ! 行くよぉ~~!!」
小さな体が庭を縦横無尽に走り回る。キャーキャーワーワーお腹の底から声を出しながら。追いかけ回す志保も笑いが止まらない。
体力の許す限り、時間の許す限り、
その後も迎えの時間まで志保は子ども達と遊んで過ごした。