いつかあなたに還るまで
「自分でもクサイセリフだなって自覚はありますけど…本心です」
「霧島さん…」
しばし見つめ合ったままどちらからともなく視線を逸らす。
沈黙の中、これまで経験したことのないなんともむず痒い空気が充満しているのを感じる。
「あ…あの! もし少しでも食欲があるのなら…おかゆを食べませんか?」
「おかゆ? …うちにお米なんてありましたっけ?」
「あ、お米も買ってきておいたんです」
「買ってって…え、わざわざですか?!」
「はい。人様の家にある食材を勝手に使うのはどうかと思ったので…だから口にできそうなものを手当たり次第…」
「……」
ポカーンとかなり呆れられている。やっぱり気持ちが空回りしすぎだっただろうか。今更ながら恥ずかしい…
だが顔を赤くして俯くと同時に隼人が吹き出した。
「ぷっ!…あ、すみません。全く悪意のない笑いです。むしろ可愛らしいなと思って」
「か、可愛い…?」
「はい。看病しに行くのにお米持参で行く人はそうそういないのではないかと。そこまで考えてくださっていたことに純粋に感動したんです」
「……」
なんだか今日はやけに甘い言葉が多いような。
熱の影響だろうか?
…うん、間違いなくそうに決まってる。