いつかあなたに還るまで



「子ども達は元気でしたか?」
「えぇ、とっても。本当なら一日中いたかったのに」

邸に帰ってきて早々、動きやすい格好から綺麗なワンピースへと着替えなければならない。言外にこれからの予定への不満を滲ませる志保に、宮間は苦笑いする。

「とりあえずお食事だけのようですし、あまり難しく考える必要はないですよ」
「でもわざわざお祖父様が家に招くなんて、そうそうあることじゃないでしょう? 深い意味はないと言われても説得力がないわ」

はぁ~っと盛大に溜息をつく姿は、上品な紺色のシルクワンピースには酷く不釣り合いなものだ。

「心配されなくても大丈夫ですよ。志保様が嫌だと少しでも思うなら私が旦那様にきちんとお話ししますから。安心してください」
「…本当に? 信じていいのね?」

まだどこか疑心暗鬼の顔を見せる志保に宮間は胸をドンと叩いて大きく頷いた。

「もちろんです! 私は常に志保様の味方ですよ!」

その言葉に志保もほんの少しだけホッと息を吐き出した。

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