いつかあなたに還るまで
「祖父はきっと母の死は自分のせいだと自分を責めてるんです。そんなことはないと思いながらも、心の底からそれを否定できない自分がいて…。だからお互いにどう距離を取っていいのかいまだにわからなくて。ただでさえ忙しい祖父はあまり邸にも帰って来ないので…なんだか今でも家族なんだっていう実感があまり湧かないんです」
「……」
「そんな時に施設のボランティアがあることを知ったんです。うまく説明はできないですけど、いてもたってもいられなくてどうしてもやりたいって思って。必死に説得して通うことを許してもらいました」
祖父はあまりいい顔をしてはくれなかった。
悲しい過去を振り返って欲しくなかったのかもしれないし、単純に私の行動を制限させたかっただけかもしれない。
けれど、やはり罪悪感もあったのだろう。バイトなどは許されない代わりにボランティアだけは認めてもらえた。
「私にとってあそこで過ごす時間は一番心が穏やかでいられるんです。…でもそれと同時に自分の嫌な部分も見えてしまう」
「…え?」
小さく掠れた声はあまり聞き取れなかった。
だが志保はいつになく強ばった顔をしている。