いつかあなたに還るまで
どれくらいの時間そうしていたのだろう。
まるでここだけ時間が止まったかのように、いつまでも互いを見つめ合っていた。
恥ずかしいとか何だとかそんな感情はいつの間にか消えていて、まるで何かの魔法をかけられたかのように微動だにできない。
……とても綺麗な目だと思った。
時に優しく、時に氷のように冷たく。
見る度に表情を変えるその瞳が、こんなにも美しいと思ったのはこれが初めてだった。
私はこの瞳の魔力に動けなくなってしまったのだろうか。
そんなことを考えているうちにいつの間にかその瞳がすぐ近くにあって。
何故だろうと思っている間にもどんどんどんどんその距離は縮まって。
それでもそれを黙って見つめているだけの自分がいて____
「…………」
気が付いたときには唇に柔らかな何かが触れていた。
驚いて目を見開いたのはほんの一瞬のことで。すぐ目の前にある瞳が優しく何かを語りかけていたから、それに全てを委ねるように志保はゆっくりと目を閉じていった___