いつかあなたに還るまで


週末に出掛けませんかというお誘いがあったのは今から三日前のこと。
会うのはあの日施設に行って以来だ。運動ができる服をもってきてくださいと言われているから、おそらくスポーツか何かをするのだろうと思う。

けれど子どもとの鬼ごっこですらあの調子の自分で大丈夫だろうか。
多分…いや、ほぼ間違いなくみっともない姿を晒すだろうことに激しく抵抗があるけれど、それでも彼とこうして一緒に過ごせることの方が嬉しい。

好きだと自覚するとこんなにも変わるのだろうか。もう彼が何を考えているのかわからないことなんてどうでもよくなってしまった。

…本音を言えばどうでもいいわけがない。
何かしらの目的をもって近づかれているのは悲しいし、できることなら彼にも同じ気持ちで自分といて欲しい。
けれど、今は同じじゃなくてもこれから変わっていけるかもしれない。
それはきっと誰にもわからない。私にも、彼にも。

都合のいい希望かもしれない。
それでも、時折見せてくれる曇りのないあの澄んだ眼差しを知っているから。
…たとえ片想いからでも、私は彼と一緒にいたい。


その先にいつか未来があると信じて。

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