いつかあなたに還るまで
絶対に自分には縁のない感覚だ。
要するに、センスのある人は何をやっても様になるってことなんだろう。
「どちらかと言えば働き始めてからの方がこういう機会が多くなったかもしれません。異文化交流の手始めとしてスポーツが利用されることなんてザラですから」
「あ…なるほど」
そう言えば彼は外務省職員だった。
少し前までは海外で生活をしていたらしいし、確かにどこへ行ってもスポーツは万国共通なことを考えればなるほどと妙に納得だ。
「でもすごいですね。きちんとやってるわけでもないのにここまでできるって。何となくインドア派な方なのかと思ってましたけど…正直ちょっと意外でした」
「いえ、思いっきりインドア派ですよ。必要に迫られなければまずやらないですし」
「そうなんですか?」
「もちろんです」
じゃあどうして今日はわざわざ?
そう聞こうとして何故かその言葉を呑み込んだ。
「でも志保さんとならこういうデートもいいかなと思って」
「えっ?」
だが心を見透かしたように隼人が甘い言葉をサラリと口にする。