いつかあなたに還るまで
「大丈夫ですか?」
「は、はい…。でも一つだけ訂正させてください」
「…何でしょう?」
「筋肉痛、明日じゃなくて既にきてます…」
明らかに来るときとは歩き方が変わっている志保を見るに見かねて声をかけたはいいのだが…彼女が心底情けない顔でそう答えると、隼人は一瞬キョトンとした後にプッと吹きだした。
「あははっ! それは…喜ばしいことなのかなんなのか、微妙ですね」
「全然嬉しくないです…ならないのが理想ですから」
「ははっ、それは確かに。すみません、今日は僕の趣味に付き合ってもらったせいで余計なお土産までついてきてしまって」
「…それは嫌味ですか?」
「まさか。心の底からの本心ですよ」
「……」
ジト目でしばし隼人を睨んでいた志保だったが、ふと、いつの間に彼に対してこんなことができるようになっていたのだろうと、自分自身の変化に驚くと同時に喜びがわき上がってくる。
変わったのは彼だけではないのだと。