いつかあなたに還るまで
「ただでさえ隼人さんは年上ですし、正式にお付き合いをするのなら…普通に話してほしいんです」
「……」
施設訪問といい今回のことといい、彼女の出す「お願い」はいつも予想外のことばかりだ。それを可愛いおねだりだと思う自分は一体どうしてしまったというのか。間違ってもそんなキャラではなかったはずだ。
「…わかった」
早速壁の取り払われた言葉遣いに志保がぱっと隼人を仰ぎ見た。
「じゃあ志保も敬語はなしね?」
「____っ」
いきなり飛び出した「志保」という名前に心臓が飛び出そうなほどに驚いた。直後、カーッと足元から一気に赤くなっていく。
こ、この人は一体誰?!
そう言いたくなるくらい変わりすぎだ…!
「わ、私はまだ無理ですっ!」
「どうして? 俺には普通に話してってお願いするのに」
「そ、それは! 隼人さんは年上ですし、その、あの…と、とにかくっ! もう少しだけそれは待ってください!!」
普通の話し方に変わっただけでもドキドキものなのに、「志保」やら「俺」やら何もかもが急に変わりすぎて脳内は大パニック。