いつかあなたに還るまで
クスクス笑う声が聞こえてきてまんま嵌められているのだと自覚するけれど、それに腹を立てる余裕すらない。
「わかった。じゃあ待つことにする。その代わり俺からもお願いがあるんだけど」
「な、なんでしょうか…」
正直今はそんなキャパ残ってません…
「キスしてもいいかな」
「はい……はいィっ??!!」
二度頭の中で反復したところでぎょっと顔を上げると、既に目の前に顔を近づけていた隼人がふわっと笑う姿が見えた。
「_____」
それ以上の言葉はそこで途切れてしまう。
そっと両肩を掴まれると、さらに近づいてくる気配を全身で感じながら志保はゆっくりと瞼を閉じていった。
そうして朱に染まる空を背に、二つの影がゆっくりと一つに重なった。