いつかあなたに還るまで

男を自分のアクセサリー程度にしか思っていない。何よりも大切なのは自分を引き立てるためのルックスとステイタス。女王様気分を味わわせてくれるのならば中身など二の次だ。
まぁそんな女だからこそこっちにとっても都合が良かったのだが。

「自分が捨てられる側になるとは露程も考えちゃいない」

執着しているのは間違いなく自分のプライドが許せないから。
飽きれば次から次に男を乗り換えていたあの女にとって、おそらく自分が振られる側に立ったというのは初めてのことだったに違いない。


だからこそ執着するのだ。
捨てられるのは自分ではなくお前なのだと。
実にくだらないプライドだけがあの女を突き動かしている。
手玉に取っていたつもりが実は利用されたのは自分だったなんて死んでも認めないのだろう。

「くっ…滑稽だな」

ああいう連中がプライドをズタズタにされた時ほど爽快な瞬間はない。
自分に出来ないことはないと信じて疑わない連中が、奴らから見ればゴミくず同然の人間に嘲笑われているのだ。

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