いつかあなたに還るまで
「志保様、たった今施設の方から電話がありまして…」
「…え?」
どこか焦ったように入って来た使用人に妙な胸騒ぎを覚える。
施設から電話がかかってくるなんてことはよほどのことがない限り考えられない。ましてやこんな荒れた天候の中。
まさか何か____?
「実は…」
「 ______ 」
話を聞くなり椅子をひっくり返しながら志保が立ち上がる。
「志保様、どちらへ?! 外はすごい嵐ですよ!」
「っそんなことは言ってられないわ! 私、行かなきゃっ…!」
「あっ、志保様っ!!」
宮間や使用人の引き留めなど志保の耳には届かない。
みるみる顔色を悪くしながら、志保は一も二もなく邸を飛び出した。