いつかあなたに還るまで
勢いがついていた反動でボフッと音をたてて顔ごと何かにぶつかる。
突然の衝撃と痛みに、一体何事かと表情を歪めながら顔を上げると、直後志保の目が驚きに見開かれた。
「____え……はや、と、さん…?」
何故彼がここに。
一瞬幻でも見たのだろうかと思ったが、今目の前でうっすらと額に汗を滲ませながら息を切らしているのは紛れもなく隼人本人だ。
「え……ど、して…」
「るぅちゃんがいなくなったって」
「えっ?」
「本当に? どこにもいないのか?」
まさか…それで…?
施設にやってくる道すがら、あらゆる可能性を考えて隼人にも瑠璃がいなくなった旨をメールしておいた。万が一にも彼のところに来ないとは限らないから。もしものときは連絡が欲しいと伝えておいたのだ。
興奮状態でかなり支離滅裂な文章だっただろうに、彼はわざわざ来てくれたというのか。
こうして息まで切らすほどに必死に。
その姿に込み上げてくるものがあったけれど、今は泣いている場合じゃない。
きゅっと唇を噛みしめると、志保は今一度隼人へと視線を戻した。