いつかあなたに還るまで


その時志保の脳裏にふとある記憶が甦る。

いつだったか瑠璃が話してくれた。
母親と公園で日が暮れるのも忘れて遊んだことがあると。
そこから見える夕日がとても綺麗で、その景色が忘れられないのだと。

その時のママは本当に優しい顔で笑ってたんだと心から嬉しそうに話してくれた。


「まさ、か…」

「何か心当たりがあるのか?」

思い出したのは本当に偶然だった。
施設から入り組んだ道ではないとはいえ、その公園に行くには子どもの足では1時間では到底足らないほどの距離だ。
普通に考えればたった一人でそんな場所に辿り着くなんて不可能に近い。

けれど…

「前にるぅちゃん言ってたんです。お母さんと一緒にいった公園がすごく楽しかったって。また行きたいって何度も何度も嬉しそうに聞かせてくれて。私にもいつか一緒に行こうねって話してて…でも、歩いて行くには…」

「行こう。可能性があることは全てあたっていくしかない。子どもだからって何もできないわけじゃない。それどころか大人が想像もつかないような行動力をみせるのこそが子どもだろう?」

隼人の言葉には何故かこの上ない真実味があって。


「_____はい!」


『まさか』などという迷いは消え去り、志保は即座に頷いていた。


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