いつかあなたに還るまで
「るぅちゃん、いるか?!」
「るぅちゃんっ、いるなら返事してっ!!」
必死に走り続けること20分。ようやく目的の公園に着いた頃にはどっぷりと日が暮れてしまっていた。瑠璃が感動したという景色の欠片すら今は見当たらない。
声の限り名前を呼ぶが、尚もザーザーと叩きつける大粒の雨がその音すら掻き消してしまう。芯から冷え切った体がぶるりと震え、もっと長い時間この寒さに晒されているであろう幼子がグッタリしている幻影にゾッとした。
「るぅちゃん!!」
「るぅちゃんっ!!」
当然のように人っ子一人いない公園の中を駆け回る。
小さな影一つ見落とさないように隅から隅まで。
「るぅちゃ____」
そうして山型の遊具の中を覗き込んだその時、暗闇の中に確かな人影を発見した。
「るぅちゃんっ?!!」
まるで悲鳴のようなその声に隼人が弾かれたように振り返る。