いつかあなたに還るまで
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シーンと静まり返った廊下には物音一つしない。
唾液を呑み込む音、引いてはそれぞれの鼓動すら聞こえそうなほどの静寂。
そんな中、志保と隼人は椅子に腰を下ろしたまま言葉を交わすことなくぼんやりとしていた。
あれから瑠璃は即入院となった。
長時間雨に晒され高熱が出てしまったことに加え、持病のある心臓にもかなりの負担を強いており、しばらくは絶対安静が必要と判断されたのだ。
はっきりとした意識が戻ることはなく、結局何があったのかはわからない。
けれどあの時瑠璃が口にした言葉は、志保と隼人の心に深く深く突き刺さった。
瑠璃はもともと人見知りが激しく、志保と打ち解けるまでにもそれなりの時間を要した。一度心を開いた人間には明るく快活な子どもだが、人一倍繊細で警戒心が強いのは今も変わっていない。
そんな子が右も左もろくにわからない世界へ飛び出してまで訴えたかったこと。
それは母親に愛されたい、ただそれだけの純粋な想いだった。