いつかあなたに還るまで


「っ、隼人さんっ!!!」

ハッと我に返った志保が慌てて呼び止めたが彼の足は止まらない。
凄まじいスピードでこの場を離れていくと、あっという間に病院の外へと出て行ってしまった。振り返れば母親は地面に突っ伏してわんわん泣いており、職員の女性が何か声を掛けている。



どうすべきかと迷ったのはほんの一瞬のこと。



「 隼人さんっ!!! 」



今は彼を一人にすべきではないと、己の本能が必死に訴えていた。



「隼人さん! 待ってくださいっ!!」


漆黒の夜は今も変わらずどしゃ降りの雨に濡れている。
志保だけでなく隼人の体にも容赦なく雨粒が叩きつけられていくが、そんなことなど構わずにどんどんその姿が小さくなっていく。志保の呼びかけも届いているはずだが、彼は決して止まろうとしない。


「隼人さんっ!!!」


全力で走ると、志保はやっとのことで隼人の腕を後ろから掴んだ。

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