いつかあなたに還るまで
「はぁっはぁっ…待って、ください…!」
掴んだ腕は強ばっていて、彼は決して振り返ろうとしない。
「……悪いけど、今は一人になりたいんだ」
それだけ言うと、掴まれたままの手を振り払おうとするのがわかった。
だが離してなるものかと、志保は隼人の背中から腕を回してその体にしがみついた。
「嫌です! 一人になんてさせません!」
「…本当に今だけは一人になりたいんだ。送っていけなくて悪いけど、一人で帰ってくれないか」
「嫌ですっ!! 絶対に絶対に離れませんっ!!!」
「 ____志保っ!!! 」
力技でか細い手を引き剥がすと、いつになくしつこい志保に苛立ちを隠すことなく振り向きざまに睨み付けた。
だが続けようとした言葉がハッと呑み込まれる。