いつかあなたに還るまで
まずは病院できちんと検査してもらわなければ。
全てはそれからだ。
「もし、本当にいるのなら…」
彼は一体どんな反応を見せるだろうか。
以前なら、今頃自分は戸惑いと不安で押し潰されそうになっていたに違いない。
けれど今想像してみたらどうだろう。
どう思い描いてみても、そこにいるのは笑顔を浮かべた彼の姿ばかり。
驚くかもしれない。
戸惑うかもしれない。
それでも、最後には必ず笑ってくれている彼しか浮かんでこない。
今の彼ならきっと…きっと、喜んでくれる。
そう自分に言い聞かせると、少しでも身体を大事にしなければとすぐにベッドへと向かう。そうして横になると、枕の下から紺色のハンカチを取り出した。
以前泣いたときに隼人が貸してくれたそれは、なんだかんだと返すタイミングを失ってずっと志保の手元に残されたままになっていた。
彼が日本を離れてからは、それをお守り代わりにしていた。
「隼人さん…」
大事そうに両手で包み込んでそっと頬にあてると、彼の気配を確かめるようにゆっくりと目を閉じた。