いつかあなたに還るまで


「よろしかったんですか?」
「え?」
「あ、いえ、志保様はあれだけ嫌がっていたので今後について前向きな返事をされたのは正直驚きました」

次の日、部屋に入ってくるなり宮間が開口一番例の食事会という名のお見合いについて言及してきた。彼女の驚きは当然のものだろう。

「そうね…。自分でも驚いてるの」
「どこか魅力的なところがある男性だったんですか?」

魅力的…?
確かに見た目を言えば魅力的な男性だろう。
背は高くて顔も整っていて、しかも知的な雰囲気を纏っている。

…でもそういうことではない。
また会ってみようと思ったのは。
それを何と言葉に表せばいいのかわからないが、彼の何かに引き寄せられたのだ。

「あの目…」

「えっ?」
「あの人の目が笑ってないの」
「…どういう意味ですか?」

志保の言い出したことがわからずに宮間は怪訝そうな顔をする。

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