いつかあなたに還るまで
ガバリと頭を下げた志保に、今度こそ本当に宮間は言葉を失った。
あれだけ無気力になっていたのに、まだ痛みだって残るだろうに、布団につくほどに頭を下げて必死に訴えている。その体を小刻みに震わせながら。
何故?
一体何が彼女をここまで突き動かしているのか____
「……志保様、あの女性と一体何があったんですか? 何か言われ… 」
「あの人は関係ないの。これは私と隼人さんの問題だから」
「だったらどうして! 尚更彼には___ 」
「私がそう決めたんだからいいのっ!! とにかく言わないでっ!!!!」
廊下に響くほどの声でそう叫ぶと、直後目眩がしたのか志保の体がふらりと揺れた。
「志保様っ!!」
咄嗟に両手でその体を支える。いつの間にか、見た目以上に体が細くなってしまったような気がする。
「はぁ、はぁ、……大丈夫…ごめんなさい、大声出して…」
「そんなことより志保様のお体が大事です。……本当に後悔なさいませんか?」
「…え?」
腕の中で志保が宮間を見上げる。
「霧島様に言わずに、本当に志保様は後悔なさらないのですか?」
「……っ」
至近距離でそう問われて、志保の瞳が一瞬揺れた。
だが直後その瞳に強い光を宿すと、宮間の視線から逃げることなく大きく頷いた。
「えぇ、後悔なんてしないわ。絶対に。どんな罪も罰も全て私が引き受ける覚悟だってある。だから…どうか彼には言わないで。お願いよ…」
「……」