いつかあなたに還るまで
一体彼女にどんな罪や罰があると言うのだろう。
ただ愛する人と結ばれた。それだけだというのに。
彼に話さないということは、その先にどんな未来を彼女が描いているのか、そんなことは聞かなくてもわかってしまう。
あんなにも幸せそうに笑っていたのに。
何故、何故_____
「……わかりました。志保様がそこまで仰るのなら、私はそれに従うまでです」
その言葉にほぅっと心の底から安堵したように、志保の体が脱力していく。
「ありがとう、宮間…。我儘を言って本当に、本当にごめんなさい…」
「私は生涯志保様の味方であると誓いましたから。…もう今日はこれ以上考え事をするのはやめましょう。私が願うことは志保様に元気になっていただくこと、それだけですから。さぁ、横になってください」
「…ん。ありがとう、宮間。あなたがいてくれて本当によかった…」
ベッドに横になった志保が儚げに微笑む。こんな時ですらきちんと感謝の言葉を忘れない志保に、宮間は喉の奥から込み上げてくるものに咄嗟に口元を覆った。
「今はゆっくりお休みになってください。私はいつでも傍にいますから」
声が震えないようになんとかそれだけを言うと、宮間は逃げるようにその場を後にした。決して、決して弱っている姿など見せないように。
今泣きたいのは自分なんかではない。
彼女が涙を見せないのに、自分が泣くなど決して許されない。
己の立場を忘れてはいけない。何度も自分にそう言い聞かせながら。