いつかあなたに還るまで
「早くても週末か…」
すぐにでも行動したいが、一方で勢いだけでプロポーズするのも嫌だった。
きちんと、落ち着いた状態で真摯に気持ちを伝えたい。
それははじめ不誠実に彼女と向き合おうとしていた自分への戒めでもあり、けじめでもあった。
…とはいえせめて声だけでも聞きたい。
そう思い帰国の報告も兼ねて電話をかけてみたが、残念ながら繋がらない。
「時間的に風呂でも入ってるかな」
わかりやすくがっくり肩を落とす自分が情けないやらおかしいやら。
最後に電話をしてからなかなかタイミングが合わず、それからはメールを通してしか会話ができていない。
一分一秒でも早く会いたい。
駆け出す気持ちを抑えるようにふぅっと息を吐き出すと、スーツケースを引きながら自宅へ帰るべく一歩を踏み出した。