いつかあなたに還るまで

「顔は笑ってるんだけど…目が笑ってないの」
「志保様? それなら…」

驚いた顔で宮間は志保の方へと一歩近付く。だが志保はそんな宮間を宥めるように手を出して大丈夫という素振りを見せた。

「わかってる。それならやめた方がいいっていうことも。…でもね、あの人にはそれだけじゃない何かがあるような気がするの。彼の目的が何なのかわからなくて怖いと思う気持ちもあるけど、でもそれと同じくらい知りたいと思う自分もいるの」
「志保様…」

宮間は素直に驚いていた。
志保はこれまでの経験から異性関係には過ぎるほどの警戒をしてきた。
邪な目的をもつ相手には特に。
そのせいもあってこれまで一度だってお付き合いをもった相手はいないし、ましてや見合いに前向きになることなんて考えられなかった。

それなのに…
今彼女がまた会おうとしている相手こそ真意が掴めないというではないか。
それにも関わらず志保は再び会ってみたいという。

こんなことは初めてだった。

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