いつかあなたに還るまで
「ねぇ、もうやめようよ。こんなことして何になるっていうの?」
「…は?」
「だってこんな嘘、いつかは絶対ばれるでしょう? そうなったら里香子には何も残らないんだよ?!」
必死の訴えにも里香子は心底バカにしたように笑い声を上げる。
「何も残らない? そんなわけないでしょ。全ては私の望む通りになるんだから」
「…どういうこと? だって、このままじゃ____」
「平気よ。だって私はもう少しで子どもが流れる予定なんだから」
「____え?」
耳を疑うような衝撃的な一言に息を止めたのはその女だけではない。
今、何を言った…?
子どもが、流れる…?
じわりと背中に嫌な汗が滲む。
「何を言ってるの…?」
「何ってそのまんまだけど? 確かにあんたの言う通りこのままじゃいつかはばれるわね。だったらばれないようにすればいいんでしょ? 私だってそこまでバカじゃないわよ。妊娠はあくまで隼人を取り戻すための嘘。あとは時期を見て子どもはダメになったって言えばいい話」
「まさ、か___。そんな嘘ついていいわけがっ…!」
「平気よ。だってあの人妊娠が嘘だなんてこれっぽっちも疑ってないもの。そりゃあそうよね。エコー写真まで見せられちゃあ信じないわけにもいかないもの。それがいつ誰が撮ったものかなんて疑いもせず、まんまと私の思惑通りに動いてくれたわ」
ドクン、
ドクン…