いつかあなたに還るまで
五年ぶりに降り立つ地に、まるで初めて来たかのような緊張を抱きながらすぅっと大きく息を吸い込む。
それをゆっくりと吐き出しながら到着ロビーへと足を踏み入れた志保の目の前に、久しぶりに見る大切な人の姿があった。
「お帰りなさい、志保様」
見るなりピタリと歩みを止めてしまった志保に、その人物がふわりと笑顔を浮かべた。
「志保様にとって有意義な時間を過ごせましたか?」
「…宮間…」
最後に会ったときと少しも変わらない笑顔に、じわりと目頭が熱くなる。
けれど零れ落ちる前にそれを拭うと、満面の笑顔で力強く頷いて見せた。
「…ただいま。えぇ、とっても素敵な時間を過ごせたわ!」
曇りのないその笑顔と答えに、宮間も心から嬉しそうに顔を綻ばせる。
「髪を切られたんですね」
「そうなの。…おかしい?」
「いいえ。とってもよくお似合いですよ」
「ふふ。お世辞でも嬉しいわ。ありがとう」
これまで志保のトレードマークともなっていた長い髪。それが今では顎の下で揃えられたミディアムボブへと変わっている。五年の歳月が過ぎたということは当然それだけ歳も増えたということなわけで。
けれど髪型の印象や本人の放つ明るいオーラからは、むしろ以前よりも若々しくすら感じるのだから不思議だ。