いつかあなたに還るまで

「謝るべきなのは私の方だわ。宮間に重い十字架を背負わせてしまって、今思えばなんて身勝手で酷いことをしていたんだろうって。もちろん隼人さんに対しても…。本当に、ごめんなさい」

がっくりと項垂れた志保に今度は宮間が慌てる番だ。

「志保様が謝る必要などありません。もし私が同じ立場にいれば、間違いなく同じ選択をしていたはずです。…霧島様の強い想いが、切れかけた糸を繋いでくれたんですね」
「…えぇ」


宮間から全ての真実を聞かされた後、隼人は昌臣へこれまでの全てを白状して謝罪した。志保のために子どもに関することだけは言わなかったが、それ以外のことは全て、洗いざらい。
その上で、志保と生きていくことを赦して欲しいと、頭を下げたのだ。

金も名誉も何一ついらない。
全てを捨てろと言われれば迷うことなく捨てる。
けれど、志保だけは。
志保と生きていくという未来だけは、どうか奪わないで欲しいと。

一生償いながら、自分の全てをかけて幸せにしてみせる。
絶対に幸せになってみせる。
だからどうか、どうか志保さんを私にくださいと。

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