いつかあなたに還るまで
「…宮間に命令があるの」
「命令、ですか…?」
志保らしからぬ強気な発言に、全く状況が掴めない。
そんな宮間を前に志保はぎゅっと涙を拭うと、呆気にとられたままの宮間の両手を強く握りしめた。
「宮間も幸せになりなさい」
「え…?」
幸せになれ…?
一瞬意味を捉えかねるが、その答えならさっき言ったばかりだ。
だが志保はそうじゃないと強く首を振る。
「そういうことじゃない。私を見て幸せだとか、そうじゃない。宮間は宮間の、あなた自身の幸せを見つけなさい」
「…志保、様…?」
「あなたと出逢えたことは私にとって本当に幸運だった。お祖父様や神様にどんなに感謝してもしきれないくらいに、本当に幸せなこと。でも宮間は出逢った時から私のためだけに生きてる。自分の私生活なんて一切顧みず、私の幸せだけを願ってる。そんなのは嫌なの。あなたが私を想ってくれているように、私だってあなたのことを大事に想ってる」
「……」
「だから、これからは自分の幸せのために生きて。私がどうだからじゃなく、あなたがどうしたいかを考えて生きていって欲しいの。そうしてくれることが、私にとっての幸せでもあるから」
「志保様…」