いつかあなたに還るまで
先に指輪を手にしたのは隼人の方だ。互いに向かい合い志保の左手をとると、細い薬指にプラチナのリングを差し込んでいく。滑るようにそれが指に収まると、志保は自分の左手を眺めてほぅっと感動の息を零した。
だが気を抜くのはまだ早い。
今度は志保が同じように指輪を手にすると、いかにも男性らしい、けれども綺麗な隼人の薬指にそれを差し込んでいく。さっきと違ってだいぶぎこちない動きになってしまったが、それがまた楽しくて二人で笑ってしまった。
「それでは誓いのキスを」
言った瞬間、またしてもキャーッと歓声が沸き上がる。
え、するの?!まさか! とおろおろする志保とは対照的に、隼人は自信満々の顔でニッと笑って見せる。
「え、え、あの、だって、子ども達が…!」
すっかりテンパリ気味の志保に笑いを堪えながら、隼人は志保の肩にそっと手を添えて少しずつ顔を近づけていく。近づいていくほどに志保は焦り、子ども達は興奮を極める。
そうして___
「……え?」
チュッと音をたてたのは左の頬。
驚いてそこに触れた志保に、隼人は見た者全てを蕩けさせるのではないかと思えるほどの甘い顔で囁いた。
「 愛してるよ。志保 」