いつかあなたに還るまで

ほっぺにちゅうだろうが子ども達は大興奮。たちまちギャーッと盛り上がりは最高潮に達する。

「えーーっ、なんでほっぺなんだよ! こういうときは口にするもんだろ!」

そんな中で唯一の野次を飛ばしたのは卓也だ。早いもので中学生となった彼は、今や思春期真っ只中だ。誓いのキスが頬だなんて納得がいかないらしい。

「そういうのは大人の時間にたっぷりすればいいんだ。お前達の前ではここまでだ」
「ちょっ…隼人さんっ?!」

ニヤリと切り返した隼人に志保がぎょっとする。
見れば呆気にとられた卓也はしばらくの間を置いてじわりとその頬を染めていく。

「…な、何言ってんだよ! 言ってて恥ずかしくねーのかよ!」
「前の俺だったらそう思っただろうけどな。志保にならどんな甘いセリフでも吐けるみたいだ」
「ちょっ…!」

ツッコミを入れたつもりが強烈なカウンターパンチを喰らったと悟ると、卓也は「かーっ、これだからリア充はってやつは!」と叫んでいた。
子ども達は未だ大興奮状態、大人はそんな卓也に盛大に笑う。


手作りの結婚式は、終始笑顔に溢れていた。


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