いつかあなたに還るまで


「志保おねえちゃん、幸せになってね」
「ありがとう…ほんとに、ありがとうっ…!」

式の最後には子ども達全員から一本ずつ花をプレゼントされた。
最後の最後、瑠璃に志保の大好きなガーベラを手渡された瞬間、これまで我慢していたものが一気に噴き出してしまう。

「あー、最後の最後に泣いちゃった…」
「だって…これで泣かないなんて、ムリだよっ…!」

あーあと呆れながらも、瑠璃の瞳にも大粒の涙が溜まっている。

「隼人おにいちゃん、ほんとにほんとに志保おねえちゃんをお願いね? 絶対絶対幸せにしてあげてね? 二人が幸せになってくれないと、私も困るんだから!」
「あぁ、任せとけ。絶対に幸せになる。じいさんばあさんになっても、バカップルって言われるくらいにね」
「えっ? あははっ、バカップルは嫌だなぁ~!」

あははっとお腹を抱えて笑う姿に目を細めながら、隼人は自分の隣で大粒の涙を流す志保にそっとあるものを差し出した。



「_____えっ?」



それを視界に捉えた瞬間、驚きに一瞬にして涙が止まってしまった。

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