いつかあなたに還るまで




「……ん、…志保さん!」

急に意識の中に入ってきた声に志保はハッと体を揺らす。その反動で手に持っていたフォークがカランと音を立てて落ちた。

「あっ…ごめんなさい! 私ったらなんてことを…」
「大丈夫ですよ。だからそんなに慌てないでください」

真っ青になって平謝りする志保に隼人は優しく声をかけるが、志保はなおも謝り続ける。


あれから。ショーを見てもう少し館内を見て回ると、時間も時間となり食事へと向かうことにした。隼人に任せて連れてこられたのはお洒落なイタリアンのお店。
緊張しながらも勧められたランチを口にしながら、いつの間にかぼーっと物思いにふけってしまっていた。

「疲れたんじゃないですか?」

心配そうに様子を伺う隼人に首を振って否定する。

「そんなことありません。とても楽しかったです。…ただ少し、昔のことを思い出してしまって。それでぼーっとしてしまいました。本当にごめんなさい」
「昔水族館に行かれた思い出があるんですか?」
「…はい。本当に小さかった頃両親と」

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