いつかあなたに還るまで

それから互いに当たり障りのない会話に終始し食事を終えると、途中ドライブをしながら志保の住む邸まで向かった。
一等地にある立派な建物は周囲をぐるりと塀で囲まれ、厳重なセキュリティで管理されている。洋館のような豪華な邸は普通の一軒家が数軒は入るだけの大きさがあった。


「志保様、お帰りなさいませ」
「ただいま帰りました」

事前に連絡を受けていた宮間が玄関前で待ち構えていた。
近付いてくる二人に気付くと笑顔で出迎える。

「霧島様もわざわざ有難うございました」
「いえ、こちらこそ志保さんとご一緒させてもらって感謝しています。会長にもよろしくお伝え下さい。では志保さん、私はこれで。また近いうちにお会いできるのを楽しみにしています」
「今日は有難うございました。楽しかったです」

綺麗なお辞儀で頭を下げた志保にニコッと微笑みかけると、隼人は車に乗り込んで邸を後にした。どんどん遠ざかっていく車をただ黙って見送る志保の様子を、宮間が見守るようにじっと見つめていた。

< 53 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop