オレンジプラネット
オレンジプラネット
「それで結局、いつ引っ越すのー?」
冬の空は高くて澄んでいる。
だから自分の声も他のどの季節よりも真っすぐ相手に届くような気がする。
バスケットボールを思い切り地面にバウンドさせて千里にパスすると、 千里は「うーん」と曖昧に答えてボールをキャッチした。
「明日が卒業式なのにまだ決まってないの?」
「荷物もまとめてないからさ」
なんとも言えない、とめんどくさそうな千里 の声が公園のバスケットコートに響く。
明日であたし達は中学の三年間を終える。
千里は東京の高校の寮に入るためにこの街を出て行って、あたしは地元の高校への進学が決まっている。
つまりそれは、あたし達はもう今みたいに、毎日学校帰り一緒にバスケをすることもテニスをすることもバレーをすることもできなくなるということでもあって、たぶんきっとお互い残念に思っている…はず。
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