オレンジプラネット
喜多さんも、そんな千里のことが好きになった女子のひとりで彼女はその想いを伝えた。

喜多さんは女の子らしくて生徒会もやってい て、まさに才色兼備な女の子だったし男子にも人気があった。

「千里と喜多さんが付き合ったら美男美女でお似合いだよね」と言っている人も多かった。それを耳にするたびあたしはちょっと複雑だったけど、実際に想像してみたら確かにそのとおりだとも思って、余計にむなしく なった。

「告白、オッケーしたんでしょ？」
「断ったよ」
「え？」

まるで挨拶をするみたいにサラッと、当たり前のことのように言うもんだから自分でも聞いたことがないくらい間抜けな声を出してしまった。

「うわ、アホっぽ」
「いや、だって、千里が変なこと言うから！」
「なんで変なんだよ、おれは真実を言ったま でだろー」
「だって喜多さんを振るなんて…」

本気で信じられなかった。振るなんてありえない。

喜多さんが千里に告白したと噂で聞いたとき、心の中で白旗を振って、ほんの少しだけ 泣いた。
それで千里への気持ちが変わることはなかったけど、それでもふたりのことを少しずつでも応援していこうと決めた。

だけど今付き合ってなかったと知って、喜多さんには申し訳ないけどホッとしてしまう自分がいるのも事実だった。
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