オレンジプラネット
見たこともないくらい優しい笑顔をしている千里に見つめられて、鼓動のリズムがどんどん加速していく。

同時に頬が熱くなっていくのが自分でも分かって、あわてて千里から誕生日プレ ゼントで貰った赤いマフラーに顔をうずめる。

「なにやってんだよ、だるまみてぇ」

そう言っていつもみたいに子供のように笑う千里に「うっさい」と言ってごまかしてみるけど、きっとあたしの気持ちなんてバレバレだろう。

冬の空は、高くて澄んでいる。
だから自分の声も他のどの季節よりも真っすぐ相手に届くような気がする。

だからこそ今、言葉にしなきゃと思った。

「あ…あたしも好きだよ」

コップから雫がこぼれるようにポツリポツリと言葉をつむぐと、 千里は「さっきの反応で丸分かり」とはにかむように笑った。



おわり
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