今日も、私は、なく、【完】
いない
――あたしが付き合っている人には、背の低い彼女がいる。
「……あたしの他にも、浮気相手がいるの?」
聞いちゃいけないことだったのかもしれない。
その人は、長い沈黙を破ったあたしをちらりとも見ずに、ふーっと煙草の煙を吐きだした。
「――いるよ」
やけに素直だと思った。
普通、こういうときに男の人は賢くずるく、酷い嘘を吐くものだと思っていたから。
「……そうなんだ」
別にショックなんかではなかった。だって分かってたし。
むしろ清々しいと思ったし、いっそ好感を覚える。
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