今日も、私は、なく、【完】
当たり前のことなのに、何か期待してしまっていた自分が自分の首を絞めて、どうしようもないくらいの痛みが心臓にのしかかる。
――痛い。ああ、痛い。痛い痛い。
一宮さんは、あたしの存在を無視した。
なかったことにしたんだ。
分かっていたのに。
――そうか。
どうして今更になって気付いたんだろう。
彼女のいる彼の世界でのあたしなんて――。
なんの価値も持たない、ただの他人なんだ。
その程度の存在だった。知ってたはずなのに。
別れた後に自覚してしまった、当たり前の事実を。
一宮さんはあたしを消したんだ、彼の人生から。世界から。
――いないのだ、あたしは、彼の未来に。
彼の隣に、あたしの居場所は無い。