音楽が聴こえる
「安心しろ。俺も慈善事業する気はねぇよ。お前らが『infinity』の前座取れれば、客呼べんだろ? そしたら、がっぽり儲けさせて貰うし、な」

悟が極上のスマイルを浮かべる。

彼ら四人してボーッとしたように、そんな悟を見詰めた。

……君達、魂抜かれてんなよ。

佐由美さんですら「なかやん……格好良い~」と自分の胸の前で、神様お祈りポーズを作った。


「じゃ、出世払いのついでに、彼らにお昼でも奢ってやって。店長さん」

「おう。……お前らはどっか行くんだろ」

悟が決定事項みたいに言うものから、あたしは小首を傾げた。

「でも、飲みに行く時間でもないしね? 佐由美さん」

「ちょっと茉奈ちゃん借りてく。いいよね……なかやん」

佐由美さん。
その確認、あたしにするんじゃないの?


「……野郎同士、仲良く飯食って来っからどーぞ」

悟はひらり、とあたし達に向かって手を振ると早々に背を向けた。
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