音楽が聴こえる
ーーー
駅から自宅までの帰り道。
駅前大通にあるCDショップの近くに差し掛かった時だった。
今朝、見たまんまと同じ女が独り、ぼんやりと店先を眺めている。
香田じゃねぇ? 友達どうしたんだよ。
微動だにしない香田を観察する俺。
ん? 店の前のポスター見てんのか?
いつもと違う様相に声を掛けるべきか迷ったけど、こんなチャンス滅多にあるわけがねぇ。
「何してんの?」
声を掛けてみたが、俺の顔を凝視した香田の目力がねぇ。
……酔っぱらってんな。
「よっ斉賀、お疲れ」
「何処のおっさんだよ。センセ」
「冗談だっての。斉賀は、あれ? 練習まだしてたんだ」
微妙に緩い口調の香田。
……こいつの頭の中では『斉賀』なんだ、俺って。
その呼び方が、誰も寄せ付けない香田らしくって、妙に笑えた。
「悟さんにスタジオ紹介して貰ったんだよ。誰かさんにダメ出しされたからよ」
駅から自宅までの帰り道。
駅前大通にあるCDショップの近くに差し掛かった時だった。
今朝、見たまんまと同じ女が独り、ぼんやりと店先を眺めている。
香田じゃねぇ? 友達どうしたんだよ。
微動だにしない香田を観察する俺。
ん? 店の前のポスター見てんのか?
いつもと違う様相に声を掛けるべきか迷ったけど、こんなチャンス滅多にあるわけがねぇ。
「何してんの?」
声を掛けてみたが、俺の顔を凝視した香田の目力がねぇ。
……酔っぱらってんな。
「よっ斉賀、お疲れ」
「何処のおっさんだよ。センセ」
「冗談だっての。斉賀は、あれ? 練習まだしてたんだ」
微妙に緩い口調の香田。
……こいつの頭の中では『斉賀』なんだ、俺って。
その呼び方が、誰も寄せ付けない香田らしくって、妙に笑えた。
「悟さんにスタジオ紹介して貰ったんだよ。誰かさんにダメ出しされたからよ」