音楽が聴こえる
12.予兆
side 茉奈
◇◇◇
「芥川龍之介の羅城門の一節に……」
高三のこの時期の授業中、集中してあたしの話しを聞いてるのは一握りの生徒だけのようだ。
ノートはその一握りから見せて貰い、予備校の問題集をひたすら解く者も多い。
のどかそうな学校でも、皆それなりに自分の進路を考えているのだ。
だから、あたしも見ない振りをする。
でも相も変わらず、斉賀があたしの授業になると寝ているのは、何処と無く腹立たしい。
……バンド顧問の授業位、ちゃんと聞きやがれ。なんて、あたしにしては珍しい感情だ。
斉賀達とあたしの距離が近くなったからかもしれないけど。
ウロウロと歩きながら、教科書を読んでみる。
普段、教壇の前からあまり動かない私が歩き回るものだから、他の生徒の調子を狂わせたかもしれない。
……斉賀以外の。
結局、斉賀は四時間目の授業中、顔を上げることは無かった。
「芥川龍之介の羅城門の一節に……」
高三のこの時期の授業中、集中してあたしの話しを聞いてるのは一握りの生徒だけのようだ。
ノートはその一握りから見せて貰い、予備校の問題集をひたすら解く者も多い。
のどかそうな学校でも、皆それなりに自分の進路を考えているのだ。
だから、あたしも見ない振りをする。
でも相も変わらず、斉賀があたしの授業になると寝ているのは、何処と無く腹立たしい。
……バンド顧問の授業位、ちゃんと聞きやがれ。なんて、あたしにしては珍しい感情だ。
斉賀達とあたしの距離が近くなったからかもしれないけど。
ウロウロと歩きながら、教科書を読んでみる。
普段、教壇の前からあまり動かない私が歩き回るものだから、他の生徒の調子を狂わせたかもしれない。
……斉賀以外の。
結局、斉賀は四時間目の授業中、顔を上げることは無かった。