音楽が聴こえる
マーブルチョコみたいな色合いのパーカーにGパンなんて軽装なシュウが、あたしの目の前に現れた瞬間だった。

元々どちらかと言えば中性的なイメージのシュウだけど、目の前の彼は病後の所為か昔よりも更に華奢に見える。

長めに伸びた髪は、彼が首を傾けるとさらりと揺れた。

「よう…く…えた」


ようやく会えたって言った?

薄暗い上にシュウの目はサングラスに隠されて。

彼がどんな表情をしているのか、あたしには見当も付かない。

そしてあたしも、どんな顔をして良いのか分からず固まったまま、瞬きさえ出来なかった。

あたしの反応が薄いと思ったのか、シュウは頭を垂れてあたしの頭上に話し掛ける。

「マアコ……久しぶり。……ガッコの先生にちゃんとなれたんだ」

「……う、ん」

自分の喉から出たとは思えない掠れた声に、顔が引き攣りそうだ。

そのうちまた連絡が来るかもとは思ってたけど、まさか本人がここまで来るとは……。


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