音楽が聴こえる
14.シュウの告白
side 茉奈
◇◇◇
「マアコ、夕飯食べたの?」
普通の車より幾分スモークの濃いシュウの車に乗せられ、着いたのは郊外にあるリゾートホテルだった。
ジュニアスウィートと呼ばれる部屋で、広々としたリビングが付いている。
既に何日か滞在しているみたいで、ソファに置かれたシュウのギターの回りには譜面が散乱していた。
「……ううん 、まだ」
「ルームサービスでも適当に頼むから」
あたしは、その言葉にコクリと頷く。
……別れた時はあんなに辛くて憤りを感じていたのに。
不思議だ。
目の前で膝を折り、譜面を拾い上げているているシュウを、客観的に見ている自分に気付く。
今のあたしには、劇的な気持ちは湧いてこない。
彼は同じ時間を過ごした、大切だった人。
それは過去の甘くて苦い記憶として残ってる。
今のシュウは、昔より華やいだ空気を纏いながらも、それでいて痛々しく見えた。そのせいかもしれない。
会いたかった、なんて言葉をこの人の口が発するのに、どれだけのプライドを総動員したんだろう。
「マアコ、夕飯食べたの?」
普通の車より幾分スモークの濃いシュウの車に乗せられ、着いたのは郊外にあるリゾートホテルだった。
ジュニアスウィートと呼ばれる部屋で、広々としたリビングが付いている。
既に何日か滞在しているみたいで、ソファに置かれたシュウのギターの回りには譜面が散乱していた。
「……ううん 、まだ」
「ルームサービスでも適当に頼むから」
あたしは、その言葉にコクリと頷く。
……別れた時はあんなに辛くて憤りを感じていたのに。
不思議だ。
目の前で膝を折り、譜面を拾い上げているているシュウを、客観的に見ている自分に気付く。
今のあたしには、劇的な気持ちは湧いてこない。
彼は同じ時間を過ごした、大切だった人。
それは過去の甘くて苦い記憶として残ってる。
今のシュウは、昔より華やいだ空気を纏いながらも、それでいて痛々しく見えた。そのせいかもしれない。
会いたかった、なんて言葉をこの人の口が発するのに、どれだけのプライドを総動員したんだろう。