音楽が聴こえる
屋上の鍵を開けるにはちょっとばかりコツがあった。
一年の頃は時間をかけた作業も三年の今となっちまえば、ものの数秒で開けられるってもんで。
鍵穴にピンを差し込むとカチャカチャと音を鳴らせ、重くて錆び付いたドアを押した。
流石に誰も使っちゃいない屋上だけあって、いつもながら剥き出しのコンクリートだけの殺風景な景色だ。
俺はドア横の壁際にケツを下ろしたものの、ポケットのスマホが邪魔臭くて仕方なく取り出した。
ゆっくりと息を吐いて、画面をスライドさせる。
げ。確かに山ほどメールが来てやがる。
昨日は一日中寝てたのも本当だけど香田のことを考えたく無くて、スマホすら触らなかった。
受信したEメールの中に、一件だけ香田の名前を見付た。
俺はその名前に気付くと無意識のうちに深く息を吐いていて、その自分の緊張に苦笑した。
……どんだけ意識してるってんだよ。
『昨日は最後まで見られなくてごめんなさい』
件名も付いて無え、短い文面。
クソ。ホントに国語教師かよ、言葉が足らねぇ。
一年の頃は時間をかけた作業も三年の今となっちまえば、ものの数秒で開けられるってもんで。
鍵穴にピンを差し込むとカチャカチャと音を鳴らせ、重くて錆び付いたドアを押した。
流石に誰も使っちゃいない屋上だけあって、いつもながら剥き出しのコンクリートだけの殺風景な景色だ。
俺はドア横の壁際にケツを下ろしたものの、ポケットのスマホが邪魔臭くて仕方なく取り出した。
ゆっくりと息を吐いて、画面をスライドさせる。
げ。確かに山ほどメールが来てやがる。
昨日は一日中寝てたのも本当だけど香田のことを考えたく無くて、スマホすら触らなかった。
受信したEメールの中に、一件だけ香田の名前を見付た。
俺はその名前に気付くと無意識のうちに深く息を吐いていて、その自分の緊張に苦笑した。
……どんだけ意識してるってんだよ。
『昨日は最後まで見られなくてごめんなさい』
件名も付いて無え、短い文面。
クソ。ホントに国語教師かよ、言葉が足らねぇ。