音楽が聴こえる
高校生に高校生の世界があるように、先生には先生の世界がある。

勿論主従関係も存在するし、あたしみたいな三下(さんした)ペーペーは、長い物に巻かれなくてはならない。


あたしの言葉を聞いた途端、斉賀は藪睨むような鋭い一瞥をこちらに寄越した。

「なんだよ、あんたも結局自分の保身かよ。……あんたが俺達のこと黙ってるのも、あそこの客に高校生が混じってるの黙ってんのも……少しは気持ち、分ってくれてんのかと思ってたんだけど」

斉賀は自分の言葉で余計にエキサイトしたらしく、座ってた椅子をガシャンッと倒して立ち上がった。

「……いいよじゃあ、もう頼まねーし。邪魔したな、地味先」

可愛い顔を怒りに歪ませて、斉賀は去って行った。


あたしは斉賀の倒した椅子を直しながらも、頬が緩むのを止められない。


もう……青いなぁ。

真っ直ぐで、淀みがなくて。

自分のしていることに迷いもためらいも無くて……。


でも悟の策略にハマった感、満載。

この間あたしにビデオ見せたのもこの為か。

奴は、あたしに何をさせたい?
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