音楽が聴こえる
「ジュンが悪いのは気分じゃなくて、機嫌だな」

斗夢の呟きはこの際シカトだ。

「じゃ」

俺は後ろ向きのまま、手を上げた。


―――

世の中、俺中心に回ってないことだって知ってる。受け入れてくれない人間がいるのも分かってる。

だけどそいつを、あの地味先にされるのが許せねー。

くそっ、ムカつく。

って、なんでこんなキレイな女とヤってる最中に、香田のことなんて考えなきゃいけねーの?俺。

朝田梨花は蔦(つた)みたいに俺の腰に足を絡ませ、自ら揺れている。

その赤い唇からは、善り声しか出てこない。

「ん…あっ……イっちゃうっ」

舌と舌と絡ませ、淫靡なキス音をたてると、そのまま朝田の体は弛み、精を吐き出した。


彼女の紅潮した頬と張りのある柔らかい肢体を、俺の目はひどく客観的に捉えていた。

こんなの単なるスポーツと、ちょっとしたステータスだもんな。

学校じゃ、ちょっとばかし有名で女にモテる俺と寝て、他の女子より優位に立ちたいってな程度なんだろう?
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