音楽が聴こえる
「何でも地元に恩返しとか言ってさ、前座に地元のアマバンドを何組か使うんだとよー。奴もようやくオトナになったんかな」
クスクスと煙草を銜えながら笑う悟の、指先がステージをスッと指す。
「ほら、あいつら」
ドラムのリズムに被せるようにギターがギュンギュン走り出した。ベースの低音が音を刻む。
そして、真ん中に立つ茶色の髪の男がギターを弾きながら歌い始めた。
その声は、少しハスキーで伸びがある。
楽しげに歌う姿に、制服姿が重なった。
「……あ。これ……斉賀純也(さいがじゅんや)」
いつも授業中、寝てる奴だ。
あたしは、こいつの頭の天辺しか見たことがない。
そのくせ成績は良くて、教師からすると煙たい存在。
だって、そうでしょ。聞いてないのに分かるって、睡眠学習法かよって、なるでしょうが。
悟は楽しげな目線を前に向けたまま、180cmを超える体を折り曲げて、あたしの耳元に唇を近付ける。彼らの音に負けない声で。
「良い声してんだろっ」
クスクスと煙草を銜えながら笑う悟の、指先がステージをスッと指す。
「ほら、あいつら」
ドラムのリズムに被せるようにギターがギュンギュン走り出した。ベースの低音が音を刻む。
そして、真ん中に立つ茶色の髪の男がギターを弾きながら歌い始めた。
その声は、少しハスキーで伸びがある。
楽しげに歌う姿に、制服姿が重なった。
「……あ。これ……斉賀純也(さいがじゅんや)」
いつも授業中、寝てる奴だ。
あたしは、こいつの頭の天辺しか見たことがない。
そのくせ成績は良くて、教師からすると煙たい存在。
だって、そうでしょ。聞いてないのに分かるって、睡眠学習法かよって、なるでしょうが。
悟は楽しげな目線を前に向けたまま、180cmを超える体を折り曲げて、あたしの耳元に唇を近付ける。彼らの音に負けない声で。
「良い声してんだろっ」