音楽が聴こえる
……香田は、高校生はいつでも腹が減ってると思っているらしい。
「要らねーよ。俺、飯食ったし」
「まぁ、食べ掛けだから、お勧めはしないけど」
香田はにやりと悪戯っぽく笑って、また昼食を再開させた。
今の顔。……多分、こいつの本当の顔。
香田の素の部分に触れた気がして、俺の顔も自然と綻んだ。
昨日、香田が謙二と話してた時、いつもの香田よりリラックスしてるように見えた。
……調度、今と同じくらい。
謙二がどうやって香田をまるめ込んで、顧問を引き受けさせたのか、本当は知りてえけど。
めちゃくちゃ気にしてるみてえじゃん。いや、気にしてんのか。
何だ? ……俺。
良く分かんない感情に、戸惑った俺は思わず椅子からケツを上げた。
「俺そろそろ行くわ。……本、悪かったよ。センセ」
「君の用事、それだったのか」
小さく笑った香田の口の右端には、生クリームが付いている。
気が付いたら俺は、あいつの口端に親指を伸ばしていた。
「センセ、ご馳走様」
甘ったるい指先のクリームを一舐めして、俺は教務室を後にした。
「要らねーよ。俺、飯食ったし」
「まぁ、食べ掛けだから、お勧めはしないけど」
香田はにやりと悪戯っぽく笑って、また昼食を再開させた。
今の顔。……多分、こいつの本当の顔。
香田の素の部分に触れた気がして、俺の顔も自然と綻んだ。
昨日、香田が謙二と話してた時、いつもの香田よりリラックスしてるように見えた。
……調度、今と同じくらい。
謙二がどうやって香田をまるめ込んで、顧問を引き受けさせたのか、本当は知りてえけど。
めちゃくちゃ気にしてるみてえじゃん。いや、気にしてんのか。
何だ? ……俺。
良く分かんない感情に、戸惑った俺は思わず椅子からケツを上げた。
「俺そろそろ行くわ。……本、悪かったよ。センセ」
「君の用事、それだったのか」
小さく笑った香田の口の右端には、生クリームが付いている。
気が付いたら俺は、あいつの口端に親指を伸ばしていた。
「センセ、ご馳走様」
甘ったるい指先のクリームを一舐めして、俺は教務室を後にした。